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第6次エネルギー基本計画の閣議決定を受けての太陽光発電市場の見通し その1

 10月22日に第6次エネルギー基本計画が閣議決定され、2030年度の新たなエネルギーミックス(2030年度におけるエネルギー需給の見通し)も確定しました。これによって、我が国は本格的な再生可能エネルギー導入拡大と、カーボンニュートラルの実現に向けて歩み出すことになります。まずは、2030年度に向けた電力需要と電源構成の見通しから見ていきましょう。

 2030年度時点の電源構成における再生可能エネルギー比率は36~38%程度と、旧エネルギーミックスの22~24%より大幅に引き上げられました。この目標自体は歓迎されるものですが、大きく2つの課題があります。1つ目は従来想定以上の省エネによる電力需要の減少を見込んでいることで、旧エネルギーミックスの10,650億kWh程度から9,340億kWh程度まで抑制する前提が置かれています。しかし、カーボンニュートラルを目指すには例えば自動車のEV化など最大限の電化を進めた上で、その電気を再生可能エネルギーで賄っていく必要がありますから、電力需要がここまで抑制されるという前提は大きな矛盾を抱えてしまう可能性があります。

電力需要と電源構成
電力需要と電源構成

 2つ目は原子力発電の比率で、2030年度時点で電源構成の20~22%を目指すとしていますが、そのために必要となる約2,000億kWhに対して、2021年11月時点で再稼働しているのは10基で約600億kWhにとどまります。現在、再稼働に向けた新規性基準への適合審査が進んでいる全ての原子力発電所が再稼働して設備利用率70%で運転しても目標値には届かず、審査未申請の原子力発電所のうち半数までが再稼働してやっと届くという状況です。もしこれが経済産業省・資源エネルギー庁の見込み通りに進まなかった場合には、その不足分を賄うだけの再生可能エネルギー電源を確保しなければ、気候変動対策としての目標達成が出来ないと言うことになります。

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筆者プロフィール
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: Magami.jpg氏名 馬上丈司(まがみたけし) 1983年生まれ。

千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役。一般社団法人太陽光発電事業者連盟 専務理事。一般社団法人ソーラーシェアリング推進連盟 代表理事。

千葉大学人文社会科学研究科公共研究専攻博士後期課程を修了し、日本初となる博士(公共学)の学位を授与される。専門はエネルギー政策、公共政策、地域政策。2012年10月に大学発ベンチャーとして千葉エコ・エネルギー株式会社を設立し、国内外で自然エネルギーによる地域振興事業に携わっている。

専門家として、千葉市の温暖化対策会議専門委員会の委員やっ八千代市環境審議会の委員、太陽光発電設備の信頼性・安全性向上の技術評価およびガイドライン(営農型)策定に関する企画立案ワーキンググループの委員などを務めている。

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