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第6次エネルギー基本計画の閣議決定を受けての太陽光発電市場の見通し その2

次に、新エネルギーミックスを達成していくための再生可能エネルギー電源の目標値を見ていきましょう。各再生可能エネルギー電源のうち、地熱発電、水力発電、バイオマス発電は旧エネルギーミックスから大きく目標値は変わっていません。大きく目標値が引き上げられたのは太陽光発電と風力発電ですが、この電源構成からも分かるとおり2030年に向けた再生可能エネルギー導入の主力は太陽光発電です。旧エネルギーミックスにおける目標をFIT制度によって大幅に前倒しで達成した太陽光発電が、現在の2倍以上の導入量に向かっていくことで大幅な再生可能エネルギー電源の確保に貢献するという構成になっています。

2030年度の発電電力量・電源構成

この数字だけを見れば、2020年代半ば以降は年間8~10GW以上という非常に魅力的な太陽光発電市場が日本に生まれるということになりますが、残念ながらことはそう簡単ではありません。前回の記事でも触れましたが、経済産業省・資源エネルギー庁も認めている通り、ここ何年も太陽光発電市場は政策的に縮小させる方向で誘導が図られ、その意図通りにFITの事業計画認定数は最盛期の年間25GWから年間0.9GW(96.4%減)まで縮小してきました。今はまだ未稼働のFIT案件などによって年間5GW前後の導入量が確保できていますが、早晩その半分以下に市場規模が落ち込むことが懸念されます。世界全体では年間200GWの太陽光発電が導入される中で、まれに見る冷え込んだ市場が日本では実現しているのです。ここから年間8~10GWの市場に立て直すには、FIT制度導入当初のような劇的な市場刺激策が必要になります。

 今回の第6次エネルギー基本計画では、旧エネルギーミックスを大幅に更新する新エネルギーミックスの目標に対して、個別の政策が更新されることはありませんでした。太陽光発電については、既存事業によって生じてきた課題の解決は継続していくとしているものの、市場刺激策については全く考えることが出来ておらず、旧エネルギーミックス下で進められてきたFIT/FIP制度の見直しについても触れられてはいません。しかし、2030年に向けた再生可能エネルギー市場の創出は、その先の2050年カーボンニュートラルの実現に向けた助走期間であり、ここでしっかりと足場を固めなければその先の目標達成は更に困難な道のりとなってしまいます。私も様々なルートで政策提言を重ね、JPEAやREASPといった業界団体もポジションペーパーなどを発表して主張を行ったものの、選挙シーズンが重なったこともあって政治側による大きな決断が出来る状況でもなかったのだと推測されます。年明けに通常国会が始まれば、新政権下での政策議論が本格すると予想されますので、この中でどういった方向性が示されていくのかに注目していきたいと思います。

筆者プロフィール
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: Magami.jpg氏名 馬上丈司(まがみたけし) 1983年生まれ。

千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役。一般社団法人太陽光発電事業者連盟 専務理事。一般社団法人ソーラーシェアリング推進連盟 代表理事。

千葉大学人文社会科学研究科公共研究専攻博士後期課程を修了し、日本初となる博士(公共学)の学位を授与される。専門はエネルギー政策、公共政策、地域政策。2012年10月に大学発ベンチャーとして千葉エコ・エネルギー株式会社を設立し、国内外で自然エネルギーによる地域振興事業に携わっている。

専門家として、千葉市の温暖化対策会議専門委員会の委員やっ八千代市環境審議会の委員、太陽光発電設備の信頼性・安全性向上の技術評価およびガイドライン(営農型)策定に関する企画立案ワーキンググループの委員などを務めている。

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