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ソーラーシェアリングの各国事情

ソーラーシェアリング

 

ソーラーシェアリングは日本初の取り組み、新たな太陽光発電のモデルとして国際的な認知も広がっています。今回は、日本国外でのソーラーシェアリングに関する取り組み事情を紹介したいと思います。まず、用語としてソーラーシェアリングあるいは営農型太陽光発電という表現が日本国内では用いられますが、英語ではAgrivoltaicsという単語が用いられます。AgricultureとPhotovoltaicsをあわせた造語ですが、農業に関連する太陽光発電を包括してAgriPVと呼称するといったバリエーションも見られます。日本のソーラーシェアリングをSolar sharingとして用いると、共同出資型の太陽光発電事業などが先行した用例として存在するため少々表現がややこしくなるようです。

 諸外国での取り組み状況としてはアジア圏での広がりが先行し、遅れてヨーロッパでの展開が見られます。東アジアで韓国や台湾が日本のソーラーシェアリングから学んだ取り組みを進めており、既に韓国政府は2030年までに国内で1,000万kWのソーラーシェアリングを導入するという政策目標を掲げています。2015年頃には日本の藤棚式架台が取り入れられた実証設備が導入され、2019年には韓国営農型発電協会が発足して取り組みを加速しており、私も何度か韓国側の招聘を受けて国際フォーラム等に参加してきました。

ソーラーシェアリング
ソーラーシェアリング

 台湾では2014年頃から日本のソーラーシェアリングと同様の仕組みを取り入れましたが、太陽光発電設備の下で形だけの農作業をする事例や、農地を発電所にするために農家であると偽装するような事業者まで現れたために、一度取り組みを全て禁止したという経緯があります。その後、改めて日本の知見を取り入れた大規模なソーラーシェアリングと農業の実証に乗り出そうとしているようです。また、魚の養殖池にソーラーシェアリング型の太陽光発電設備を設置する「漁電共生」というモデルに熱心なのも特徴的です。

 では、ヨーロッパではどのような展開が進んでいるのでしょうか。ドイツではフラウンホーファー研究機構(Fraunhofer-Gesellschaft)で1980年代にAgrivoltaicsの原型となったアイデアが生まれていたようですが、実証に着手したのは2010年代に入ってからでした。他にフランスやイタリアが熱心にソーラーシェアリングの導入を進めようとしており、特にイタリア政府が2021年4月に発表した新型コロナウイルス感染症からの経済復興事業の中で、ソーラーシェアリングに対して11億ユーロを投資して200万kWの導入を目指すという計画は大きな驚きでした。また、フランスでは2021年6月にFrance Agrivoltaismeという普及団体が設立されたほか、ドイツとフランスの研究機関が共同でAgrivoltaicsの国際フォーラムを毎年開催しています。

 日本では太陽光発電所の立地に関する土地利用規制が曖昧だったこともあって、FIT導入後に地上設置型の太陽光発電が低圧規模から特別高圧規模まで乱立することになりましたが、ドイツなどではそうした設置方式に厳格な規制が設けられたこともあって、ソーラーシェアリングについても農地を利用することへの規制が厳しかったようです。しかし、2022年以降にそうした規制が緩和されるとみられているほか、フランスでもソーラーシェアリング型の太陽光発電に限った再生可能エネルギーの入札枠を設けるといった取り組みが始まっており、今後は導入が加速していくことが予想されます。

 

 ここまでアジアやヨーロッパでのソーラーシェアリングに関する取り組みの概況を紹介してきましたが、そうした国々から日本でのソーラーシェアリング事業はどのように捉えられているのでしょうか。各国に比べて早い段階から実地での普及が進んだことで、設計や作物のバリエーションが幅広いという点で注目されている様子があり、特に農産物の生育は1年1年の積み重ねですから少しでも早く始めた事例が優位に立てます。また、台風や地震といった自然災害の多い土地柄もあり、その環境に対応できる設備設計がとられていることにも関心を寄せられていると感じます。ただ、国内では太陽光発電設備下での作物生産・生育に関する体系立てられた研究が不足していることもあり、今後は実証研究を重ねてきている韓国やドイツ、フランスに遅れを取ってしまうことも懸念される状況です。

筆者プロフィール
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: Magami.jpg氏名 馬上丈司(まがみたけし) 1983年生まれ。

千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役。一般社団法人太陽光発電事業者連盟 専務理事。一般社団法人ソーラーシェアリング推進連盟 代表理事。

千葉大学人文社会科学研究科公共研究専攻博士後期課程を修了し、日本初となる博士(公共学)の学位を授与される。専門はエネルギー政策、公共政策、地域政策。2012年10月に大学発ベンチャーとして千葉エコ・エネルギー株式会社を設立し、国内外で自然エネルギーによる地域振興事業に携わっている。

専門家として、千葉市の温暖化対策会議専門委員会の委員やっ八千代市環境審議会の委員、太陽光発電設備の信頼性・安全性向上の技術評価およびガイドライン(営農型)策定に関する企画立案ワーキンググループの委員などを務めている。

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