REC 公式ブログ REC 世界的なエネルギー資源情勢の激変とソーラーシェアリングの役割

世界的なエネルギー資源情勢の激変とソーラーシェアリングの役割

ソーラーシェアリング

前回はソーラーシェアリングの各国事情について取り上げましたが、それからわずか2ヶ月で世界情勢は一変しました。東欧のウクライナとロシアの戦争によって世界のエネルギー資源市場は激変し、食料需給の逼迫もこれから生じてくることが確実視される中で、日本を含む各国においてエネルギーと食料の確保が喫緊の課題として浮かび上がっています。これらの出来事によって、あらゆる再生可能エネルギーの導入がこれまで以上のスピードで進められることになると同時に、短期間での導入が可能となる太陽光発電の価値はこれまで以上に高まることになると考えられます。今回は、現在の世界情勢が日本に与える影響について取り上げていきます。

 日本国内では2030年に向けた気候変動対策目標の達成と、それに向けた再生可能エネルギー導入の拡大を果たすべく昨年第6次エネルギー基本計画が策定され、太陽光発電だけでも現在の2倍以上に導入量を拡大するという数値目標が設定されたことは以前にもこのブログの記事で取り上げました。その目標を達成するだけでも、年間8~10GWの太陽光発電市場を2020年代半ば以降には創出する必要があり、現在のFIT/FIP制度だけでは達成不可能な状況にあるため劇的な市場刺激策が必要と述べました。しかし、今回の世界的なエネルギー資源価格の上昇によって年内には国内でも大幅な電気・ガス料金の上昇が見込まれ、ガソリンや軽油・重油も高騰していくことが予想されます。こうなってくると、もはやエネルギー資源の安定的な確保が企業の事業継続に対する重大なリスクになるため、現在のように政府がどれだけ再生可能エネルギー普及に無策のままであっても民間ベースで再生可能エネルギーの導入ニーズが高まることになると予想されます。既に昨年から電力価格の上昇は生じてきていましたが、JEPX(日本卸電力取引所)のスポット市場取引データを見ると、3月の東京のエリアプライスの単純平均価格は30円/kWhを超え、2021年10月からの半年間の平均価格も20円/kWh以上になっています。こうした状況が今後も続くだけでなく、更に電力価格が上昇していく可能性がある中では、オンサイト型の自家消費だけでなくオフサイト型であっても太陽光発電を導入していくことへの経済合理性が高まっていくことになります。もはやFIPがどうこうという話でもなく、これまでFIT制度の調達価格等算定委員会で議論されていたようなエネルギーコストの段階的な低下という見通しも、夢幻となるでしょう。

 この状況をソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の観点で見ると、再生可能エネルギー導入のニーズが高まっていくことに対して、まとまった規模の電源としての設置が都市部などの需要地に近い立地で可能であることが今まで以上に価値を持ってくるだけでなく、エネルギーと共に私たちの社会に欠かせない食料確保の面からの貢献にも目が向けられることになると考えます。政府の総合エネルギー統計において農業に投入されるエネルギー資源の内訳を見ると、国内の農業生産に必要なエネルギー資源の実に99%が化石燃料由来であり、これはすなわち今回のエネルギー資源価格の上昇が農業生産にも直ちに大きな影響を与えるということになります。単に農作物の生産コストが上昇するというだけでなく、化石燃料の輸入が滞るような事態が生じれば農業生産そのものに支障を来すことになるためこれまでもエネルギー転換は急務ではありましたが、その緊急度が今はより深刻になったと言えるでしょう。

農業の脱化石燃料は喫緊の課題(ソーラーシェアリング)

私たちの生活に必要な食料を確実に手に入れるべく農業の脱化石燃料を進めるには、農業機械を含めて最大限の電化を進めた上で、その電源として再生可能エネルギーを導入していくことが不可欠です。もちろん重油ボイラーをバイオマスボイラーに置き換えたり、太陽熱温水器を採用したりしていくような取り組みも同時に必要ですが、速やかに着手すべきは幅広い電化です。そして、ソーラーシェアリングであれば全国各地あらゆる場所で農業生産と同時に再生可能エネルギー電源を確保することが出来るようになるため、最も迅速に農業のエネルギー転換に取り組むことができます。

 もはや、これまで経済産業省・資源エネルギー庁が再エネ導入で繰り返してきた「国民負担の抑制は待ったなし」という言葉は寝言にもなりません。今、日本社会が存続し続けられるかどうかの瀬戸際に立たされていることを直視し、将来世代のために今私たちが何をすべきなのかを真剣に議論して迅速に行動へと移していかなければならない、私たちはその正念場に立たされています。

筆者プロフィール
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: Magami.jpg氏名 馬上丈司(まがみたけし) 1983年生まれ。

千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役。一般社団法人太陽光発電事業者連盟 専務理事。一般社団法人ソーラーシェアリング推進連盟 代表理事。

千葉大学人文社会科学研究科公共研究専攻博士後期課程を修了し、日本初となる博士(公共学)の学位を授与される。専門はエネルギー政策、公共政策、地域政策。2012年10月に大学発ベンチャーとして千葉エコ・エネルギー株式会社を設立し、国内外で自然エネルギーによる地域振興事業に携わっている。

専門家として、千葉市の温暖化対策会議専門委員会の委員やっ八千代市環境審議会の委員、太陽光発電設備の信頼性・安全性向上の技術評価およびガイドライン(営農型)策定に関する企画立案ワーキンググループの委員などを務めている。
ソーラーパネルのREC公式ブログ 特別寄稿

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