「塩害仕様、重塩害仕様のソーラーパネルですか?」
お客様より海の近くでのソーラーパネルの設置について「重塩害仕様、塩害仕様のソーラーパネルですか?」というご質問をいただくことがあります。
しかしながら、一般的に塩害仕様か塩害仕様でないかということは、明確な基準はなく各業界・業態でもその基準も違うようです。さらに、各メーカーでも塩害や塩害地域の考え方が違うようでなかなか一言では言えないのが現状です。他にも、土木業界などでは外洋と内海でも仕様が異なるなどかなり複雑なようですね。
一方、RECの設置マニュアルには「塩水/塩水飛沫に直接曝される場所」について設置の制約をしております。なので、汀線から何メートルというような表記ではありませんので、逆に言うと、汀線近くや塩害地域というような場所でも塩水飛沫が直接かからないような状況では設置可能となります。あくまでも塩水飛沫が直接かかる場所の設置について保証の対象外となります。
コネクタ接合部周辺の空気循環ができるスペースを確保
潮の塩害などもですが、そもそも湿気が電気的接合部に滞らないようにすることが大切です。水たまりが常時または定期的に発生する環境にソーラーパネルのコネクタを放置しないでください。風雨後にはコネクタを完全に乾いた状態に戻すことが必要です。RECのソーラーパネルに装備されているコネクタの保護等級は結合時にIP68(以前はIP67)以上となりますが長時間湿気が滞ると毛細管現象のように湿気が侵食して接合部が破損することがあります。(※防水防塵のIP規格についてはこちらを参考にしてください)
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上記の施工は一見丁寧に架台などに結束して整理されているように見えますが、コネクタの接合部分が架台に密着しています。 このように電気的接合部分が他の部材と密着していますと風雨後、接合部に乾燥しきれない湿気が、時間をかけて毛細管現象のようにして水分が接合部に入り込み破損する恐れがあります。 | コネクタなどの電気的接合部は、上記の写真のように架台などから離して施工することで、コネクタの周囲に十分な空気循環を確保することができます。 このように施工することで排水性が良くなりコネクタが湿気に覆われても早く乾燥して乾いた状態に保つことができ、損傷の危険性が低減します。 |
また、日ごろは潮がかからないけど、台風や強風などで潮がかかってしまう場合はありますよね、こういった場合は、お手数ですがやはり真水で潮を洗い流してあげてください。冬場に積雪地域の道路に塩化ナトリウムをまいた道を車で走ったりした場合、車体裏をお水で洗い流したりしますが、それと同じで最小限の清掃は必要となります。もちろん防水防塵規格は前にもブログで書いた通り製品自体はIP68規格ではありますが、表面の腐食には経年(雷やその他自然現象)での限界がありますのでご注意ください。
また、塩害地域の場合、材料そのものも大切ですが、アースの施工や架台と止付けるボルトナットの選定、絶縁ワッシャーなど、施工上にもたくさんの注意が必要ですね。
IEC61701:2011 塩水噴霧耐食性試験
ソーラーパネルのIEC規格では塩水噴霧(耐食性)試験の基準があり、基本その内容で業界統一されております。
しかし、ここでも注意が必要です。この試験には5段階の試験があり、最小限の試験をクリアした場合でも評価書は出るのです。
ちなみに、RECではIEC61701のSeverity6(クリックすると証明書PDFをご覧いただけます)という認証を取っています。
この規格は下記のように内容を区分けされておりますので、皆様が設置を考えている地域でどの基準までの物を採用するか参考にされてはいかがでしょうか?
特に、メーカーにより塩水噴霧試験のSeverity等級が違いますので各メーカー様によく確認したほうが良いですね。
Severity(厳しさ) | 塩水噴霧試験の条件 | 試験の必要日数 |
1 | 15~35℃の環境下で塩分5%の水溶液2時間噴霧 40℃、湿度93%(7日間) 以上を4回繰り返す | 28日間 |
3 | 15~35℃の環境下で塩分5%の水溶液2時間噴霧 40℃、湿度93%(20~22時間) 以上を4回繰り返す 23℃、湿度45~55%で3日間乾燥 (※4,5,6の基本試験) | 7日間 |
4 | Severity(厳しさ)3の試験を2回繰り返す | 14日間 |
5 | Severity(厳しさ)3の試験を4回繰り返す | 28日間 |
6 | Severity(厳しさ)3の試験を8回繰り返す | 56日間 |
ということで、RECでは塩水噴霧耐食性試験でIEC61702:2011のSeverity6という試験にクリアしてますので、RECは塩害仕様のソーラーパネルとしています。
もちろん、設置場所や施工方法、メンテナンスなどきちんとマニュアルに沿って設置頂くようお願い申し上げます。