REC 公式ブログ REC ソーラーシェアリングの最新統計と市場動向

ソーラーシェアリングの最新統計と市場動向

ソーラーシェアリング

日本国内におけるソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の市場規模やその動向はどうなっているのか?というのは、非常に良く聞かれるテーマの一つです。国内で導入されているソーラーシェアリングの数を確実に把握できるのが、農林水産省が毎年8月に公表している「営農型太陽光発電設備設置状況等について」という資料です。今年も、令和2年度末(2021年3月末)時点の統計データが公表されているので、そのデータを見ながらソーラーシェアリングの動向について分析してみましょう。

 国内での導入件数は「許可件数」という形で集計されており、年度毎に一時転用許可の新規許可件数と再許可件数、そしてそれぞれの下部農地の面積が公表されています。まず新規許可件数の推移を見ていくと、FIT制度の変更で導入された「みなし認定」の手続きによる大混乱に伴い、再エネ事業の停滞が発生した平成29年度を除けば一貫して増え続けています。令和2年度は新たに779件の許可が行われ過去最高を更新しました。一方で発電設備の下部農地の面積は縮小しており、下部農地の面積の合計を新規許可件数で割った平均値は、令和元年度の約2,805㎡/件から令和2年度には約1,859㎡/件になっています。これは事業が小規模化傾向にあり、低圧案件の比率が高まっていることが推測されますが、詳細なデータは公表されていないため案件規模の構成がどう変化しているのかは分かりません。

営農型 太陽光発電 設備の許可件数等の推移
営農型 太陽光発電 設備の許可件数等の推移

 この新規許可件数から、市場規模を推定することも可能です。新規許可を受けた事業の平均的な遮光率を50%と仮定した場合、下部農地の面積から約120MWdc程度の設備が導入されたと推定できます。総事業費を20万円/kWdcとすると240億円、18万円/kWdcとすると216億円程度の市場規模となります。また、新規許可件数と再許可件数の差分から、最初の再許可を受けず/受けられずに廃止された事業の数も推定できます。今回公表された令和2年度末までに一時転用許可を受けた事業は基本的に「3年許可」の事業と考えられるため、新規許可件数と再許可件数の差分から少なくとも100件以上の事業廃止が推測されます。

 もう一つのデータとして、新たに一時転用許可を受けた農地の区分を見てみましょう。どのような農地にソーラーシェアリングが導入されているのかを知ることが出来るデータですが、農地区分は農用地区域内農地が最大となっており、次いで第1種農地の比率が大きくなっています。ソーラーシェアリング/営農型太陽光発電は、一定の条件下で基本的に農地区分による制約無く設置できるため、特に農用地区域内農地への立地が多くなっていることは理解できます。令和2年度末のデータでは、農用地区域内農地よりも第1種農地の方が増加率としては大きくなっていることも注目すべきポイントです。一方で、ソーラーシェアリングの設備下における作物の収穫量に関する定量的な規制が緩和された荒廃農地については許可件数の横ばいが続いているものの、令和3年度以降は緩和の影響が出てくると考えられるので来年以降に公表されるデータを待ちたいと思います。  

営農型 太陽光発電 設備に係る農地区分
営農型 太陽光発電 設備に係る農地区分

以上のように、農林水産省の統計資料からソーラーシェアリングの新規許可件数は増加傾向にあること、一方で事業規模の小規模化が進んでいること、一定割合で再許可を受けることなく廃止されている事業があること、農用地区域内農地や第1種農地への導入が進んでいるといった市場動向が読み取れました。こうした統計資料はどうしても少し古い情報になりがちで最新情勢を掴むには至りませんが、長期的な傾向を含めてソーラーシェアリング市場が国内で成長しつつあることは確実です。

筆者プロフィール


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氏名 馬上丈司(まがみたけし) 1983年生まれ。

千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役。一般社団法人太陽光発電事業者連盟 専務理事。一般社団法人ソーラーシェアリング推進連盟 代表理事。

千葉大学人文社会科学研究科公共研究専攻博士後期課程を修了し、日本初となる博士(公共学)の学位を授与される。専門はエネルギー政策、公共政策、地域政策。2012年10月に大学発ベンチャーとして千葉エコ・エネルギー株式会社を設立し、国内外で自然エネルギーによる地域振興事業に携わっている。

専門家として、千葉市の温暖化対策会議専門委員会の委員やっ八千代市環境審議会の委員、太陽光発電設備の信頼性・安全性向上の技術評価およびガイドライン(営農型)策定に関する企画立案ワーキンググループの委員などを務めている。
ソーラーパネルのREC公式ブログ 特別寄稿

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